🏷️趙峩龍と尭雲は史実に登場するのか?

尭雲(ぎょううん)と趙峩龍(ちょうがりゅう)は、
人気漫画『キングダム』の中でも屈指の実力を誇る将軍コンビです。
彼らは、李牧が総大将を務める軍の中で、「かつて藺相如に仕えた将」として登場し、
飛信隊や玉鳳隊との激闘を繰り広げる中で、その存在感を一気に高めました。
では、そんな彼らは史実に登場するのでしょうか?
結論から言うと、趙峩龍と尭雲は史実には登場しない、完全な創作キャラクターとされています。
中国の史書『史記』や『戦国策』などの主要な資料には、
彼らの名前や似たような人物の記録は確認されていません。
また、名前の字面からモデルになったと考えられる将軍も見当たらず、
「実在した武将を元にしている」と明言できる情報も現時点ではありません。
とはいえ、彼らのような“架空の武将”を登場させるのは、
実はキングダムに限らず、歴史をベースにした創作物ではよく見られる手法です。
特に『キングダム』では、
「史実上、空白になっている戦局」や「史料の記録が曖昧な人物関係」の隙間に、
創作キャラクターを配置することで、物語にドラマ性と厚みを加える構造になっています。
趙峩龍と尭雲も、まさにその例のひとつ。
史実では存在しないながらも、作中では“伝説的存在・藺相如の意志を継ぐ者たち”という重みある立ち位置が与えられています。
彼らが創作であると知ることで、
「じゃあ実際の藺相如ってどんな人物だったの?」
「李牧のもとには、実際には誰がいたんだろう?」と、読者の興味は自然に史実の方向へと向かっていきます。
創作だからこそ生まれる魅力。
それをどう受け取るかが、歴史ものの楽しみ方のひとつかもしれませんね。
※藺相如については詳しくはこちら👉️趙国の知勇『藺相如』ー戦神に負けなかった男ー
🏷️キングダムでの役割と魅力
🏷️藺相如をキングダムの世界に鮮明に蘇らせるために生まれた二人
趙峩龍と尭雲――この二人が『キングダム』において果たす役割は、
ただの「強い敵将」ではありません。
作中で彼らは、かつての”趙国・三大天“藺相如に仕えていた将軍として登場します。
その描写は、どこか古風で誇り高く、現代的な将軍たちとは一線を画す雰囲気をまとっています。
彼らが戦場に姿を現すとき、物語の空気が変わるのです。
趙峩龍は冷静沈着で老獪、戦の構造そのものを見通すような知将として描かれ、
尭雲はまさに“武”の象徴。命を賭して信を迎え撃つその姿は、圧倒的な存在感を放ちます。
では、なぜ彼らは創作キャラでありながら、こんなにも強く印象に残るのでしょうか?
それはひとえに、**「藺相如を語るには、彼の意志を継ぐ者が必要だった」**という、
原先生(作者)の物語構築力のなせる技だと感じます。
藺相如は実在の人物ですが、史記ではあくまで外交官、文官としての記録が中心。
戦場に立った記録は乏しく、「軍人」としての藺相如像は空白になっています。
その“空白”に、趙峩龍と尭雲が配置された。
彼らを通じて、藺相如がかつてどれだけの信頼と力を持っていたかが、視覚的に描かれるのです。
※藺相如については詳しくはこちら👉️趙国の知勇『藺相如』ー戦神に負けなかった男ー
「この二人が藺相如に仕えていた」
その一点だけで、藺相如という人物のすごみが、まるで現在進行形で伝わってくる。
つまり、**趙峩龍と尭雲は「過去の英雄を、現在に呼び戻す装置」**なのです。
しかも、彼らが戦場で語るセリフやふるまいには、
藺相如の教えや思想を色濃く引き継いでいる様子が描かれ、
“生きた伝説の残響”として読者の心に刻まれます。
だからこそ、趙峩龍と尭雲はたった数巻の登場でありながら、
シリーズを通しても記憶に残る“創作キャラ”となったのでしょう。
趙峩龍・尭雲と同じ性質のキャラたち(呉慶将軍・項翼)
趙峩龍と尭雲が史実に登場しない創作キャラであることは間違いありません。
けれど彼らが、ただの“作者の都合で生まれたキャラ”かといえば、そうではない。
むしろ、歴史の隙間を埋め、物語に厚みを与えるために必然的に生まれた存在だったのではないでしょうか。
彼らがいたことで、
「藺相如という人物」や「積み重なってゆく歴史」が、
より強く、よりリアルに、読者に伝わってきまいた。
実際、『キングダム』には他にもこうした”伝説の人物を浮かび上がらせる”魅力あふれる
創作キャラクターが他にも登場しています。
戦国四君・信陵君の意志を受け継ぐ男〜呉慶将軍〜

キングダムの初期に登場し麃公(ひょうこう)将軍と戦った、魏の呉慶将軍。
キングダムの世代では、すでに亡くなっている『戦国四君の一人・信陵君(しんりょうくん)』ですが、
その食客頭だった呉慶将軍が、信陵君の意志と戦術を受け継ぎ秦国の前に立ちふさがりました。
信陵君(しんりょうくん)は、藺相如や廉頗将軍と同じく、戦神・昭王の前に立ち塞がり秦国の侵攻を許しませんでした。
※戦国四君・信陵君について詳しくはこちら👉️『信義の人にして戦国四君・最強の男”信陵君”』
※秦国・昭王について詳しくはこちら👉️『秦の覇権の礎を築いた戦神・昭襄王(昭王)』
信(李信)と同世代、楚国の若手ナンバーワン『項翼(こうよく)』

また、楚の項翼(こうよく)も、キングダムの中では、幾度となく秦たちの前に立ち塞がり、秦の将軍たちと対等に渡り合っています。それどころか、常にゆとりを感じさせる戦いで、実力の底が見えません。
実はこの項翼も、史実に名前を見つけることが出来ません。
しかし、この名前や圧倒的な実力のイメージからは、後に登場する楚の大将軍・項燕(こうえん)、あるいはこの後中華にその名をに轟かせる『項羽と劉邦』の項羽(こうう)!!への暗示が感じられます。
項翼に関しては、今のところ詳細は語られていませんが、今後の展開が本当に楽しみです✨️
まとめ:まるで実在するかのような”創造物”・・・尭雲と趙峩龍
『キングダム』の魅力のひとつは、
史実と創作の“あいだ”にいるキャラクターたちが、物語に深みを与えていること。
趙峩龍や尭雲もまた、その類の人物でした。
“史実とフィクションの境界”に立ちながら、まるで藺相如の使徒のような存在でした。
そして、たとえ創作であっても、
その人物を通じて読者が「歴史に興味を持った」「藺相如を知った」「李牧が気になった」と感じたなら、それはもう立派な“きっかけ”としての存在価値があるのではないでしょうか。
小生は、彼らが史実に存在しないとわかったとき、
「ちょっと残念」と思うよりも、藺相如ってすごかったんだな!それに尭雲かっこよかったな!
藺相如という存在を知ることが出来て良かった!と純粋に思い、キングダムとその時代・春秋戦国時代にどっぷりとハマっていきました。
武将たちが生きた時代がわかる!!↓↓↓歴史の人物年表↓↓↓
■歴史年表・人物一覧■
🔷年表・国別から人物を探したい方はこちら
👉️『中国・春秋戦国時代の年表 〜人物一覧〜』
■関連記事■
🔷藺相如(りんしょうじょ)の記事はこちら
👉️趙国の知勇『藺相如(りんしょうじょ)』
🔷”戦神”昭王の記事はこちら
👉️秦の覇権を築いた”戦神”昭襄王(昭王)
🔷廉頗(れんぱ)将軍の記事はこちら
👉️趙三大天 猛将・廉頗大将軍
🔷秦の始皇帝の記事はこちら
👉️『秦の始皇帝』とは?中国を統一した初代皇帝の生涯とその影響
🔷王騎(おうき)将軍の記事はこちら
👉️『王騎将軍‼️』王騎将軍のモデルは誰?史実とフィクションの狭間をゆく。』
📌参考文献・出典
- 鶴間和幸『始皇帝の戦争と将軍たち』朝日新書(2024年)
- 原泰久『キングダム』集英社/週刊ヤングジャンプ連載
- 横山光輝『史記』小学館
- Wikipedia「藺相如」(最終閲覧日:2025年4月23日)
コメント