楚の大将軍「項燕(こうえん)」
「キングダム」ファンなら、どこかで一度は目にしたことがあるかもしれません──
歴史の節目に現れた、記録の少ない“伝説の将軍”。
本記事では、そんな項燕の実像と、キングダム登場の可能性を探っていきます。
■本記事でわかること■
- 項燕は実在したのか
- 項燕の代表的な戦い
- 項燕と項羽の関係
- キングダムでの項燕
楚の大将軍 項燕は実在したのか?
漫画キングダムでは、項燕将軍は名前だけ数回登場しています。
大物なのに名前しか出てきていない!!
今の時点では、他のどんな人物よりも謎めいています。
そんな項燕大将軍は、戦国時代末期の楚国に実在した大将軍でした。
史実の上では、キングダムでも大活躍している李信将軍や王翦大将軍と激闘を繰り広げた
楚国の英雄的存在です。
存亡の危機にあった楚という国で最期まで戦い抜いた、まさに”楚の魂”と呼べる存在でした。
そしてもうひとつ、驚くべき事実として──
項燕は「項羽と劉邦」で有名な、「西楚の覇王」項羽の実の祖父でもありました。
史実での項燕の実像と実績
楚という国が、戦国時代を最後まで生き抜いた大国であることは、
歴史好きなら誰もが知るところです。
その最終局面で楚軍を率いていたのが項燕です。
キングダムより少し前の世代、
彼は、白起によって大敗を喫した楚をもう一度まとめ上げ、
春申君らと共に“第二の楚”を立て直し、秦に対抗し続けました。
破竹の勢いの李信・蒙恬20万の軍を返り討ちにする

戦国末期、秦が各国を滅ぼしていく中でも、楚は最後まで抵抗。
そして、その中心には項燕の存在がありました。
秦は楚攻略のために、李信将軍の意見を取り入れ20万の軍容で楚に攻め入ります。
当初、楚は、李信軍10万と蒙恬軍10万により次々と要所を落とされてしまいます。
しかし、淮水北部を熟知する項燕が、三日三晩休まずに進軍し、李信・蒙恬軍を急襲・
大逆転の勝利を収め、秦軍を敗走させました。
※李信将軍についてはこちら👇️ ※蒙恬将軍についてはこちら👇️
60万の王翦(おうせん)軍との決戦

作成者:Lqy219 / CC BY-SA 3.0 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ZH-战国七雄地图.jpg
※この地図は、秦が中華統一へと進む紀元前224年頃の勢力図をもとに作成しています。
韓・魏・趙はすでに滅亡し、秦の支配下に入りつつあります。
地図上の「×印」は、すでに滅んだ国を示しています。
項燕の采配により、李信・蒙恬軍は大打撃を受け、逆に秦が危うい立場となりました。
しかし、こんなことでは諦めないのが秦王嬴政(えいせい)です。
時は少し遡しますが、、
李信と蒙恬が楚攻めをする前に、王翦は楚の攻略には60万の兵が必要だと進言していました。
この時、秦王嬴政は王翦が年を取って弱気になっていると判断し、李信の案を入れました。
この秦王の決断に、王翦は引退を決意し故郷に帰り隠居してしまいました。
しかし、李信の大敗北を受けて、秦王は即座に王翦の元へ向かい、再出馬をお願いします。
そして王翦は、当初提案していた60万の軍を率いて楚を迎え撃ちます。
楚と秦の、歴戦の雄同士の戦いは、知略で勝った王翦が勝利します。
楚王負芻(ふすう)は捕虜となりましたが、項燕はなんと!かつて秦の丞相であった楚の公子昌平君を
楚王として擁立して徹底抗戦しました。
しかし、その後再び王翦と蒙武により攻められ、ここで項燕は戦死(もしくは自害)したとされています。ちなみに昌平君もここで戦死しました。
※蒙武について詳しくは👇️
項羽へとつながる意志と血脈
項燕の孫に『西楚の覇王』の項羽がいます。
項羽は、楚の復興を掲げ、秦を打倒し、劉邦と覇を競った英雄です。
項燕が守り抜いた“楚の誇り”と“反秦の意志”は、
孫・項羽へとしっかりと引き継がれていきました。
そして、項羽と劉邦の戦い 〜漢の時代へと流れていきます。
血と意志が脈々とつながっていく感覚──
これこそが、中国戦国〜漢初にかけての歴史の魅力ですね。
キングダムでの項燕:登場する日は来るのか?
キングダム本編では、今のところ項燕は登場していません。(2025年5月現在)
しかし、その名前だけはすでに作中に登場しており、
読者の中には「おっ?」と反応した人も多かったのではないでしょうか。
歴史的にも、項燕は王翦と対峙し、
楚の最後の防衛線を張った人物です。
今後、「信と王翦による楚攻略」が描かれていく中で、
項燕が登場する可能性は非常に高いと思われます。
廉頗将軍と同等、もしくはそれ以上の人物?!

そのうち一回は、楚王と廉頗将軍との会話の中でのことでした。
『出し惜しみ・・・』
この廉頗の発言から、項燕将軍は、大将軍 汗明もしくは廉頗将軍をも凌ぐ
器の持ち主であるかも、、と想像してしまいます。
秦にとって、『李牧』に次ぐ最大の壁となるか?
キングダムで印象的なライバルたちといえば、
信にとっての龐煖、王翦にとっての李牧──
そして次に現れるとしたら、楚の“最後の壁”項燕。
彼の登場は、ただの新キャラではなく、
楚の命運、戦国時代の幕引きを飾る重要な存在になるはずです。
史実に近い戦いが描かれるのであれば、項燕大将軍の指揮のもと、項翼、白麗、
もしかしたら媧燐たちも参戦する大激戦になるかもしれません。
ちょっと震えますね⚔️🔥🔥
だからこそ、今のうちに“項燕って誰?”を整理しておくことは、
今後のキングダムを何倍も楽しむための“準備”かもしれません。
まとめ:楚の誇りを背負い、時代をつないだ大将軍
項燕は、記録の少ない人物でありながら、
戦国時代の“終わり”を象徴する存在です。
楚という国家の魂を守り、戦い、散った名将。
その誇りは項羽に受け継がれ、やがて秦の滅亡、そして漢の誕生へと続いていきます。
キングダムの物語の中では、次々に新しい戦いが描かれています。
その中で項燕がどのように登場し、
どんな名言や戦いを見せてくれるのか──
キングダム、これからも楽しみですね。
おまけ:項の一族
⚔️史実上実在した『楚の大将軍・項燕(こうえん)』:祖父
⚔️史実上実在した『西楚の覇王・項羽(こうう)』:孫
⚔️史実では登場しないが「キングダム」では規格外の強さを見せる
楚の将軍『雷轟・莫邪刀の項翼(こうよく)』:・・・んっ?
項翼の登場は多いですが、実は詳細は語られていません。

項翼の正体は一体誰なのかーー
キングダム、まだまだ楽しみは尽きませんね。
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📖参考文献・引用
- 司馬遷『史記』
- 始皇帝の戦争と将軍たち:鶴間和幸(朝日新書)
- 史記:横山光輝(小学館『BIG COMICS GOLD』)
- キングダム原作:原泰久(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
- Wikipedia「項燕」(最終閲覧日:2025年5月19日)
※本記事は、史実に基づく文献およびフィクション作品『キングダム』を参考に執筆しています。
一部に諸説ある内容や、解釈に幅のある表現が含まれています。予めご了承ください。
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